知らないのが一番怖い ~ ジョーズに魚介と付き合う知識

以前書きましたホタルイカのエントリーに、ご意見をいただきました。
東京のSさんからです。

今や都内でも至る所で、お目にかかれるホタルイカ。

私は富山出身なので子供の頃から身近な食べ物でしたが、生で食べたことはありませんでした。

寄生虫の件、後半で触れられていてホッとしました。

実際、富山の食品関係者は生食を憂いています。

そうなのです。

売らんがため、話題にするために、煽情的な書き込みや一方的な情報提供が後を絶ちません。
そのことを、Sさんも嘆いていらっしゃいます。

我々Fish Lovers Japanは、偏った情報による印象操作に反対します。

魚を食べなくなってしまった日本人というエントリーでは、魚介摂取のメリットを強調していますが、ここに堂々とデメリットも掲げておきます。

魚を食べなくなった日本人の食文化に、未来はあるのか!?

目次

魚介を食べるデメリット

【参考】天使のお使いwebsite

調理・貯蔵に際し、一般に塩分が増加する

食物に塩をふると、微生物の細胞の原形質が分離を起こし雑菌の繁殖が抑えられ食物の長期保存が可能になり、また余計な水分を抜くことで旨みが凝縮されることが判っています。
しかし反面、浮腫(むくみ)、高血圧、胃潰瘍、認知機能などへの影響が報告されています。

f:id:souxouquit:20170407171102j:plain

干したり焼いたりした魚には、過酸化脂質が多く含まれる

過酸化脂質は発がん性物質のひとつであり、動脈硬化や老化を促進することも知られています。

焼き魚をよく食べる人に胃ガンが多い、という免疫的調査がある

ガンにならない食べ方、生き方という本によると、タンパク質が焼かれてできるトリプ1–P、トリプ2-Pなどの物質が焼き魚には多く含まれ、これが胃ガン発生の原因のひとつだとされています。

f:id:souxouquit:20170402130057j:plain

青魚で、アレルギー性食中毒を起こす場合がある

サバなどの青魚は、ヒスチジンを多く含んでいます。
ヒスチジンは必須アミノ酸のひとつでありこれ自体は無害なのですが、鮮度が落ちてこれがヒスタミンに変わると、アレルギー性食中毒を起こす場合があります。

いわゆる「青魚の生き腐れ」と言われる所以です。

素早くワタを抜きこまめに冷すなど鮮度保持に注意して、新鮮なうちに調理しましょう。

【参考】厚生労働省 ヒスタミンによる食中毒について

胃腸アニサキス症を起こす場合がある

アニサキスはサバ・イワシ・カツオ・サケ・イカ・サンマなどの内臓に寄生しますが、宿主が死んで鮮度が落ちると筋肉に移動します。それを人間が刺身で食べると、生きたまま胃腸に達し、最悪の場合アニサキスは胃や腸の壁を食い破ります。

強力な胃酸でも死なない訳ですから、食酢程度の処理ではアニサキスはビクともしません。
しかし、加熱で簡単に死にます。
凍らせても死にますが、家庭では無理なレベル(-20℃で24時間冷凍)なのでお勧めしません。

また、前回エントリーでご紹介したホタルイカに寄生している旋尾線虫による「急性腹症」や「皮膚爬行症」も、同様のリスクと言っていいでしょう。

【参考】厚生労働省 アニサキスによる食中毒を予防しましょう

これについては改めて記事をアップしています。

踊るな!踊らされるな!~間違いだらけのアニサキス報道

毒素を持っているものがある

有名なのはフグや貝類ですが、最近それ以外にも、日本人には名も知られていない有毒の魚介類が輸入されているという報告も一部ではあります。

(【参考】厚生労働省 自然毒のリスクプロファイル:フグ毒

f:id:souxouquit:20170402130058j:plain

主に淡水魚の刺身から、寄生虫に感染する場合がある

サケ・マスによる広節裂頭条虫、アユ・シラウオ・フナ・コイなどによる横川吸虫症、フナ・コイ・ワカサギなどによる肝吸虫症、カニによる肺吸虫症などの寄生虫感染症が報告されています。

旨い魚介、特に生食にはリスクはつきもの

関西ファミリーフィッシングの雑記帳」というブログに魚介の食中毒リスクについてのエントリーがあり、大変参考になりました。

私が言いたいことをほとんど端的に記述されていますので、まとめのパートをそのまま引用します。

食中毒対策は面倒かもしれないけど、慣れてきて「今まで大丈夫だったから手を抜いても平気。」なんてサボりだしたころに危険が手招きして待ち構えてるんじゃないかと。お酒を飲んでるし任意保険も入ってないけど今まで事故ってないから大丈夫!って車を運転するようなもの。初心忘れるべからず!

リスクがあるからといって過度に心配する必要はありません。でもちょっと今日は体調が悪いとか、抵抗力の低い幼児やお年寄りに食べさせるというなら生食は避けたほうが無難かもしれませんね。できれば新鮮な魚でも火を通すレシピを。自己責任とか言ってられないから。どんなに丁寧な予防をしようが100%安全という域には絶対到達できないし。

お化け怖い。

それじゃあ科学の光の届かない暗黒の中世と同じです。

リスクとはいったい何なのか。
どう予防できるのか。
正確な情報と予防手段を理解することが大切です。

闇雲に良い面だけを強調するのではなく、かといって過度にリスクを恐れることもなく、賢く魚介とつきあっていきたいものですね。

魚を食べなくなった日本人の食文化に、未来はあるのか!?

コメント

  1. debux2 より:

    魚に限らず、100%リスクの無い食物など存在しないでしょう。また個人差もあるでしょうし、日々の体調に左右されることもあるでしょう。
    そうした可能性を意識し、気をつけつつ、美味しくいただきたいものです。

  2. souxouquit より:

    debux2さん!
    抗生物質を使って飼育した肉や、化学肥料やアフターハーベストを施された野菜も、それなりに「リスク」を抱えていますね。
    必要なのは、気をつけつつ美味しくいただく、まさにそのとおりですね。

コメントを残す