1~3月が一番旨いマガキは、栄養たっぷりな海の完全食品

牡蠣は低脂肪高蛋白で、18種類のアミノ酸、A、B1、B2、Cなどのビタミン、亜鉛、鉄分、カルシウムなどのミネラル、グリコーゲン、タウリンなど、栄養素をバランス良く多量に含むため、「海のミルク」「海の完全食品」とも言われる優れた食材です。

そんな栄養満点なマガキの旬は、秋から春先にかけてです。特に年明け1~3月が一番旨い時期とされています。

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目次

転換交代的雌雄同体のマガキは1~3月が旬

マガキ(Crassostrea gigas)は、牡蠣と呼ばれる貝類の仲間の中で、世界一多く食べられている種類です。漢字で真牡蠣と書くのは、その昔総てオスだと思われていたからです。実際は、別個体が交代で雌雄の役割をして生殖する「転換交代的雌雄同体」です。

日本全土の水域、内湾に棲息しています。産地は、広島県、岡山県、宮城県、岩手県などですが、北は北海道から南は九州まで、広く養殖されています。天然ものは非常に少なく、ほぼ養殖です。日本の総養殖生産量は、35[千t/年]前後にもなります。

一部秋に産卵する個体もありますが、産卵期は6~8月で、旬は秋から春先にかけてです。特に年明け1~3月が一番旨い時期とされています。初夏に稚貝を採取し、翌年冬1年で出荷するもの、また、盛夏に採取して2年目の秋、3年目の秋に出荷するものに分かれます。

イワガキとはどう違うのか

秋から春に味がよくなるのがマガキ、それに対し、春から夏に味がのるのがイワガキです。

イワガキについては、以前の記事をご覧ください。

数えきれないほどのブランド牡蠣たち

カキえもん(北海道)
厚岸の「カキえもん」は、国内で唯一、年中出荷しています(以前にも紹介しました!)

寿(ことぶき)牡蠣(北海道)
寿都は海水温が低く、4月下旬~7月上旬に出荷しています

サロマ湖産(北海道)
 日本最大の汽水湖であるサロマ湖で養殖されるマガキです

赤崎の牡蠣(岩手)
 東日本大震災で壊滅的被害を受けましたが、復興かきプロジェクトで立ち直りました

花見かき(岩手)
 1個50g前後と通常の3倍以上の大きさで、4月・5月の2ヶ月間のみ出荷されます

三陸もまれ牡蠣(宮城)
 宮城県最北端で2~3年かけて育て、1粒の身が15cm前後と大粒なマガキです

能登がき(石川)
 能登かき街道では、3月31日まで「七尾湾 能登かき祭2018」を開催中

的矢がき(三重)
 全国に普及した「垂下式養殖法」は、1927年に、ここ的矢湾で初めて成功したのです

浦村がき(三重)
 ノロウイルスによる風評被害をきっかけに、焼きガキの食べ放題を提供し始めました

渡利牡蠣(三重)
 汽水域である白石湖の渡利牡蠣は、生産量の少なさから“幻のカキ”と言われています

赤穂坂越カキ(兵庫)
 名水百選にも選ばれた千種川の水が流れ込む、播州赤穂坂越湾の生ガキです

ひなせかき(岡山)
 高梁川、旭川、吉井川、千種川が交じる汽水域で育ち、大きくふっくらしています

かき小町(広島)
 特許取得の「産卵しないカキ」は、夏の身痩せがなく、通常の1.5倍の大きさに育ちます

健牡蠣(広島)
 採苗した幼生が付着した貝殻を干潟に吊るし、その後沖に移すことで、一気に太らせます

安芸の一粒(広島)
 天然の親ガキを用いて天然干潟を利用して育てたカキは、甘く風味があります

恵比寿かき(福岡)
 博多湾西端に位置する唐泊のカキは、身入りが良く、ぷりっとした食感が魅力です

豊前一粒牡蠣(福岡)
 植物性プランクトン豊富な海で育ったカキは成長が早く、通常より粒が大きいです

からつんカキ(佐賀)
豊富な栄養を含んだ、幸多里の浜沖合で育てられたマガキです

九十九島 殻付かき(長崎)
 夏冬の水温差が激しい海で育ち、やや小粒ながらコクのある濃厚な味わいが特徴です

覚えておきたい失敗しない選び方

マガキは、殻付と剥きガキで流通しています。殻付は全て生食用ですが、剥きガキには、生食用と加熱用があります。

生食用・加熱用の区別は、鮮度の違いによるものではありません。生食用は、収穫後、一定期間無菌状態の海水で体内の細菌を出したもので、その分、旨みが少ないという指摘もあります。一方加熱用は、こういう浄化工程を経ずにそのまま出荷したものです。いずれにせよ、調理段階で加熱し殺菌できる場合には、お安い加熱用を使うべきだろうと思います。

剥きガキはパック詰で売られていることが多いですが、身が膨らんでいて、中の塩水が透明なものを選ぶといいでしょう。

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思ったよりカンタンな牡蠣殻の開け方

難しそうに思うかもしれませんが、ポイントを押さえれば、牡蠣殻は誰にでも簡単に開けられます。但し、以下はあくまで右利き用です。左利きの人は、右利きの人に頼んでしまいましょう。

  1. 手には、必ず軍手をはめてください
  2. フタ(平たい方の貝殻)を上に、蝶つがい(殻頂)を手前にして、カキを左手で持ちます
  3. 殻の右斜め奥から、殻の間にカキナイフ)を差し入れます。フタの裏側に沿うようにナイフを手前に引き、フタについた方の貝柱を切ります
  4. フタを外し、フタの部分の貝柱とヒモを、フネ(深くなっている方の貝殻)に移します
  5. 身の下側にナイフを入れ、船底についた貝柱を切ります

生食用の殻付マガキは洗わずそのまま食べよう!

牡蠣のエサは「植物プランクトン」です。一日中、エラから大量の海水を吸い込みながら、プランクトンを摂取します。牡蠣1個が吸い込む海水の量は、300~400リットル/日と言われます。つまり、牡蠣は海水そのものだ、と言えます。

生食用マガキは、収穫後浄化工程を経て出荷されますので、殻を開けた後に洗う必要がありません。寧ろ牡蠣殻に入った現地の海水を纏わせたまま食べるのが一番旨い、という向きもあります。細かい貝殻が気になったり、塩分がきついと感じる場合でも、軽くすすぐ程度で構わないでしょう。

ご馳走カキ料理の数々

生食、汁、揚げる、炒める、焼く、蒸す、ご飯、鍋物、中華料理など、いかようにも調理できますが、マガキを使うとご馳走感がすごいです。

生食

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生食用のマガキは殻付きと剥きガキで流通していますが、概して、殻付きの方が新鮮なことが多く、苦みや渋みも少ないです。塩味はお好みで、そのままでも、醤油でも、ポン酢でも。酸味は、柑橘類や、代わりに酢でも旨いです。タバスコ、一味唐辛子、もみじおろしなどで辛みを加えると、これまた堪りません。生の旨さが一番際立つ食べ方を工夫するだけでも、楽しいものです。剥き身パックのものは、大根おろしで軽くもみ洗いしてやると、臭みが抜けて旨みが増します。

かき豆腐

鰹節の出汁を酒、醤油で濃いめに味つけした、醤油仕立ての鍋です。マガキ、豆腐、野菜などを煮ながら食べます。カキの旨みが豆腐にからみ、旨いです。カキは過熱しすぎると固くなってしまうので、注意しましょう。

かきのすき焼き

醤油、酒、砂糖の割下と、別に昆布出汁を用意しておきます。鍋の中で、この割下と昆布出汁を合わせて、マガキの剥き身、豆腐、葱などの野菜を煮ながら食べます。カキの旨みで、どんどん食が進みます。

鰹節出汁に酒、醤油で味を調え、豆腐、葱などを煮ます。そこにマガキの剥き身を投入して塩で味つけすれば、すまし汁の完成です。マガキの滋味の深い、後味さっぱりの汁です。

マガキの剥き身に片栗粉をまぶして落とせば、とろみ汁の完成です。適度なとろみとマガキの旨みが合わさって、濃厚な味わいです。う~ん甲乙つけがたし。

カキのチャウダー

バターを溶かして小麦粉をソテーし、室温に戻した牛乳を少しずつそそぎ練って、ホワイトソースを作ります。マガキは小麦粉をまぶしておきます。フライパンに大蒜を入れて香りを出し、玉ねぎを炒めてマガキを加え、ホワイトソースを加えて、ブイヨンなどで適度な濃度にのばします。

カキフライ

カキフライ

マガキの定番料理と言っていいでしょう。「カキフライはじめました」の文字に、心躍らない人はいるのでしょうか。マガキの剥き身を塩水で洗い、胡椒を振り、小麦粉をまぶし、溶き卵をくぐらせ、パン粉をつけ、一気に揚げます。いやぁ旨い。

カキの天麩羅

カキフライは「カキフライの味」としか言いようのない味なのですが、カキの天麩羅は、そりゃあもう、カキそのもののかおりがプンプンする、磯臭い一品なのです。半分レアの揚げたてをいただくと、これまた絶品なのです。

炒めもの

マガキは炒めると、身がプクッと旨いのです。フライパンに胡麻油を入れて熱し、カキと葱をさっと炒めて、塩、醤油、そばつゆなどで塩味を調えます。山椒や七味唐辛子で辛みを利かすと、一層旨いです。

また、ほうれん草と一緒に、洋風にソテーするのもありですね。塩胡椒したマガキの剥き身に小麦粉をまぶし、ニンニクの風味をつけたオリーブオイルでソテーします。

焼きガキ

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殻付きのカキを炭火で焼きます。火にかけると貝殻がパチパチとはぜるので、屋外バーベキュー向きですね。フタ(平らな方の殻)を下にまず焼き、殻が開き始めたらすかさずひっくり返し、フタを取り去るといいです。うま味が凝縮されて非常に結構です。

蒸しガキ

殻付マガキを、ふたのできる鍋に入れて、少量の水で蒸し上げます。カキのうま味や貝らしい風味が凝縮されてとても結構です。

カキの炊き込みご飯・釜めし

牡蠣釜めし

醤油、酒などで味つけして、剥身マガキと米を一緒に炊きます。この方法だと、牡蠣が固くなりがちなので、より丁寧に作るなら、先に蒸しガキを作る方法がいいでしょう。鍋に溜まった汁と醤油、酒で味つけして、これで米を炊きます。炊き上がりの米を蒸らす時に、蒸しガキを戻して混ぜ込みます。ふっくらとした蒸しガキが堪りません。

ネットの魚屋

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