冬場に脂がのるキンキ(キチジ)は、北の海のご馳走白身魚です

キチジは、近年キンキの名で広く流通しています。脂がのって上品な旨みのある白身は、刺身はもちろん煮付けにすると絶品です。冬の白身魚の番付は、西の横綱がノドグロ、東の横綱がキンキ、といったところです。

キンキはメバルの仲間

標準和名キチジ(喜知次、吉次、黄血魚)は、カサゴ目メバル科に属する深海魚ですが、もともとは宮城の地方名でした。他にもキンキ(北海道)、キンキン(北海道南部、青森県、秋田県)、メンメ(北海道東部)、メイセン(岩手県)、アカジ(茨城県)などいろいろ地方名がありますが、近年では東京の市場でも北海道の地方名「キンキ」で通っています。

魚体の色が赤く目が大きいこと、体型や名が似ていることなどからキンメダイと混同されることがありますが、キンメダイ[キンメダイ目キンメダイ科]とは全く別の種です。寧ろ同科で近い種は、メバル(眼張)やメヌケ(目抜)などです。

太平洋岸に広く分布し冬に旬を迎えるキンキ

キンキは、樺太から千島列島のオホーツク海およびベーリング海、北海道南東沖や列島東部沖各地の深海(水深150~1,300mの大陸棚斜面)に棲息し、日本海側では獲れません。2016年のデータで言うと、全国の漁獲量1,100t/年あまりのうち北海道が600t/年あまりでシェア55%以上、次いで岩手県、青森県、宮城県と東北での水揚げが多いです。アラスカキチジなどの近縁種が多く輸入されていて、国産モノに比べ、1/4程度の価格で流通しています。

【出典】農林水産省 漁業・養殖業生産統計

キンキは、主に魚、イカ、エビ、カニ、ゴカイ類などを食べ成長します。身が赤くなるのは、エビやカニに含まれるアスタキサンチンに由来します。産卵期は7~10月で、30万個程度を生みます。産卵期に向けて栄養を蓄える冬~春に旬を迎えます。脂ののった冬の白身魚としては、日本海を代表するノドグロが「西の横綱」だとすると、関東以北太平洋側のキンキが「東の横綱」という感じです。

キンキ

漁獲法とブランド

「浮き袋」を持っている通常の深海魚は、船揚げと同時に浮き袋を吐き出すため鮮度が急激に落ちますが、浮き袋を持たないキンキは、鮮度を損ねることなく船揚げすることができます。

かつてはトロール網などで大量に獲れ、笹かまぼこの材料になったり肥料(!)になったりと下魚扱いでしたが、近年は扱う漁師の減少、燃料価格の高騰などの理由から漁が安定せず、漁獲高が激減しています。

特に北海道網走では、魚体を傷つけにくい延縄のキンキ専業漁が行われていて、網走漁業協同組合所属の延縄船で漁獲される釣きんきは、網走漁協が商標登録しブランド化していて、高級魚として取引されています。

キンキが宴席に供されるのは近畿じゃなくて東北北海道

キンキは、特に北海道や東北で人気が高く、いわゆる赤ものの魚の中でも最も旨いとされ、高級魚として珍重されています。

祝いの席の供え物として、関東以西ではマダイを用いるのが一般的ですが、水揚げが多い北海道では、キンキを使うのが寧ろ一般的です。また、秋田県大仙市では、伝統的に、結婚披露宴の料理に「キンキンの尾頭付き」を付けるのが通例です。

料理法いろいろ

脂がよく乗った上品なキンキは、クセがなく、身は軟らかく、小骨が少ないため、老人や子供にも食べやすい白身魚です。大きさ的にも調理しやすく、刺身、しゃぶしゃぶ、焼魚、煮魚、汁物、干物、粕漬け、酒蒸し、鍋物、ムニエルなど、いろいろ調理できます。

煮付け

キンキ煮付け

何といっても、キンキは煮付けが旨いです。鱗とワタを抜いて丸ごと煮付けますが、身が柔らかいので身崩れしないよう注意は必要です。キンキ本来の旨さが出汁とケンカしないように、味付けはさっぱりめに。煮汁は、野菜の煮物などに再利用しましょう。脂ののった上品な白身は、まことに結構です。

無論、洋風にアクアパッツァにしても、抜群に旨いです。

焼き魚(特に干物)

キンキ焼き

皮が超絶に旨いキンキは、塩焼きにしても大変結構です。特に干物は絶品で、背開きにしてさっと塩を打ったキンキを1~2日干した物は、身が締まり旨みが増して、焼くだけで悶絶モノの旨さです。

刺身

鮮度の良い個体をゲットしたら、煮付けだけではモッタイナイので、刺身にも挑戦したいところです。皮下に強い脂の層、ゼラチン質があり特に旨いので、三枚に卸して、皮目を湯引き、皮霜造りにするのがいちばんいいですね。しゃぶしゃぶにしてもイケます。

汁物

キンキは、鍋や椀物などの汁物にもよく合います。脂を持っているのでパサつかず、プリッと美味しい身が楽しめます。また、アラからとても良い出汁がでるので、ブイヤベースなどにも向いています。

湯煮

キンキ湯煮

キンキの持つ旨さをシンプルに味わうなら、北海道の郷土料理「湯煮(湯炊)」を試してみましょう。キンキはヒレやウロコ、内臓を取り、さっと塩をなじませ、下拵えしておきます。酒を入れた湯、または昆布出汁を用意し、その湯にキンキを投入し、煮立たないように弱火で短時間煮ます。火が通ったら、皿に取り出して完成です。生醤油やポン酢醤油、ウスターソースや中濃ソースなどを付けてシンプルに食べます。まるでお洒落ではありませんが、本当に旨い魚だからこそできる料理です。もちろん、出汁が出た煮汁は他の料理に再利用しましょう。

コメント

  1. debux2 より:

    煮付けはキンキ、塩焼きはノドグロ、が好みです。

  2. Fish Lovers Japan より:

    debux2さん!
    煮付はキンキ、塩焼がノドグロとは、こだわってますねぇ。

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