あなたが食べている「ししゃも」は代用魚「カラフトシシャモ」です!

普段、スーパーや居酒屋で「ししゃも」として販売されているのは、ほとんど「カラフトシシャモ」です。本家本元の「シシャモ」と姿は似ていますが、生物系統的な位置は近いとは言えず、色合いや食味も異なります。

JAS法改訂に伴う表示の厳格化により原材料名明記が義務付けられた2003年以降、「カラフトシシャモ」の名を目にする機会も多くなったと思いますが、そもそもカラフトシシャモとは一体何なのでしょうか?

シシャモの代用魚「カラフトシシャモ」の正体

[サケ目 キュウリウオ科 マロータス属の]カラフトシシャモは、[サケ目 キュウリウオ科 シシャモ属の]シシャモの代用魚で、英名capelin(カペリンまたはキャペリン)と言います。

1970年代以降、生干し後に冷凍したものが、ノルウェー、アイスランド、カナダなどから輸入されるようになり、シシャモの代用魚として一気に定着しました。日本の商社が要求するのが、食感が喜ばれる子持ちのメスであるため、商品価値が無いオスはほとんど流通しません。JAS法がカバーするのは原材料名だけ(商品名は対象外)なので、居酒屋などでは、単に「ししゃも」、あるいは「子持ちししゃも」として販売されています。

「ししゃも」といえば「カラフトシシャモ」になってしまった背景

いつしか「ししゃも」といえばカラフトシシャモを指し、スーパーの店員に聞いても「代用魚だと知らない」と言われる程、浸透してしまいました。挙句の果てに、本家本元のシシャモは「本シシャモ」と呼ばれる始末です。この、本歌取りというか、代用魚の代表化現象の原因は、いくつか考えられます。

・カラフトシシャモの流通価格は、本シシャモの1/3以下程度
・カラフトシシャモの輸入量は約2万t/年に対し、本シシャモの漁獲量は1,000~2,000t/年
・流通量が少ない本シシャモの味を知らない人が多く、そのことが偽装の温床となった
(JAS法が商品名までカバーしないことも偽装に拍車をかけた)
・姿が両者とも似ていて、漁師でなければ中々見分けがつかない

なるほど、見比べると判りますが、カラフトシシャモしかない状態で「これはししゃもだ!」と言われると、素人には判りませんね。

シシャモvsカペリン

【出典】最北の海鮮市場

今こそ「本シシャモ」のことをよく知ろう

シシャモ群

世界でも希少なシシャモは遡河回遊する「神がくれた魚」

透明感のあるピンク色の本シシャモは、鮭などと同じ遡河回遊(川で孵化し海へ下って成長したのち産卵のため生まれた川へと再び戻る)魚で、非常に希少な魚です。世界でも日本のみ、さらに北海道東南部の太平洋沿岸の一部の地域でしか獲れません。しかも、生息数が減り資源を保護するため、漁獲するのは、1年のうちで僅か30~40日という短い漁期のみ。ですから、旬は、10~11月の漁期間だけ、ということになります。

ところで、シシャモはアイヌの人たちに「神がくれた魚」として尊ばれました。シシャモは「柳葉魚」と書かれますが、これは、神によってシシャモが柳の葉からつくられたというアイヌの伝承からで、アイヌ語で柳の「シュシュ」と葉の「ハム」を合わせた「シュシュハム」が訛ってシシャモとなった、と言われています。

シシャモ

年間通して旨いオスが断然オススメ

カラフトシシャモは脂ノリが悪く、焼くとパサパサになります。よくマヨネーズ醤油をつけて食べたりするのは、このパサパサ感をごまかすためです。

本シシャモは天然の脂がよく乗り、身がしっとりして、旨味が強いのが特徴です。勿論マヨネーズなど余計な脂は要りません。

そして、本シシャモの旨さを楽しみたいなら、年間通して旨いのはオスです。メスよりも大振りで、卵に栄養をとられるメスよりコクがあって脂ノリもよく、ほくほくとした身に焼きあがります。

卵を目当てに食べるならカラフトシシャモのメスも悪くはありませんが、シシャモ本来の旨みを堪能したいなら、本シシャモのオスが断然おすすめ、というか、もうほとんど一択です!

本シシャモを美味しく食べるためには

定番の塩焼

シシャモ塩焼

本シシャモの食べ方筆頭は、塩焼きでしょう。もし半生のものが手に入ってそれを焼いて食べるなら、魚の旨みが凝縮されぐっと味がよくなりますので、少し干すのがお勧めです。

焼きすぎると腹が爆発する子持ちししゃもは当然のことですが、オスであっても、サッとあぶる程度に焼くのがコツです。また、冷凍品は解凍するとうまみが水分と一緒に流れ出てしまうので、そのまま焼きましょう。また、焼く前にお酒を振りかけるとさらに柔らかく仕上がり旨いので、ぜひお試しください。

シシャモ寿司

シシャモ握り

新鮮な本シシャモは、生食できます。程よい脂身で、サヨリに似た感じです。旨いです。

フライ・天麩羅

半生状態のものが手に入ったら、丸ごとフライや天麩羅で食べてしまうのも旨いです。

野菜たっぷりシシャモ汁

シシャモから出汁をとって仕上げる「ししゃも汁」は、優しい塩味仕立てで体が温まります。

炊き込みご飯

オスは身がしまっているので、炊き込んでも身がくずれません。ご飯と渾然一体としたその深い香りと旨みは、もう堪りません。

「シシャモの町」北海道むかわ町

シシャモを「町魚」と定め、「鵡川ししゃも」を地域団体商標登録した北海道むかわ町は、まさに「シシャモの町」です。

鵡川ししゃも

何とMUKAWA NO SHISHAMOというテーマソングもあります。HAMBURGER BOYSというバンドが歌っています。

「北海道のブルーノ・マーズ」なんだそうで、どうも道内の町のテーマソングを勝手に作る、北海道ラブな方々のようです。以前のエントリーでも取り上げました。

厚岸産KAKKIのショーゲキ

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