夏の白身魚の王者イシダイは、磯の風味も旨い高級魚

「石をも噛み砕く歯を持つ魚」イシダイは、コリコリした歯ごたえと、ほのかな磯の風味を持った、まさに夏の白身魚の王者です。

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目次

西日本では良く知られた魚

北海道以南の浅海、および南シナ海沿岸など日本各地にいるが、特に西日本沿岸に多く見られます。沿岸域の岩礁帯に棲息し、暖流の影響を受けた浅い海に多く分布します。

成熟した個体が春先から群れで南下し、4~7月ごろ南日本で産卵します。ふ化した稚魚は流れ藻について表層を漂い、動物プランクトンなどを食べながら育ちます。河川などの汽水域へも進入することがあります。

幼魚は、堤防の周辺や海水浴場などでも観察できます。全長3~4cmくらいに達すると生活の場を海表層から岩の穴や隙間などに移し、海底付近を泳ぎ回って生活します。強い歯を持ち、エビ・カニなどの甲殻類、サザエなどの貝類、ウニなどの棘皮動物、軟体動物、多毛類などをバリバリ食べます。多くは3歳で成熟し、体長60cmほどになります。老成して80cmを超す大モノもいます。

鮮やかな縞模様は老成して消える

幼魚は、白地(黄色味がかることもある)に7本の黒の縦縞模様がはっきりと出ていて、「シマダイ」や「サンバソウ(三番叟、縞模様烏帽子が特徴的な能・歌舞伎の演目)」などとも呼ばれています。幼魚期を過ぎ体長が40cmを超える頃になると、俗に「銀ワサ」とか「銀ピシャ」とかいわれる体の表面の変化が現れ、トレードマークの縞模様が消え、体中が一様に燻し銀のような色合いになります。口の周りが黒くなるので「クチグロ」とも呼ばれています。この変化が見られるのはオスだけで、メスは大きくなっても縞模様が消えません。

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人懐っこい人気者

イシダイは、好奇心旺盛なことでも知られています。特に幼魚は怖いもの知らずで、なんでも興味を持って近づいてきます。海水浴場でも人をつついたりする事がありますし、防波堤での釣りでも、真っ先に群れで針に飛びついてきます。

観賞魚としても人気が高いです。また、水族館によってはショーの主役になっています。これは、高い反射能力を利用して条件反射芸を仕込むことができるためです。

イシダイは「磯の王者」とも呼ばれ、釣り人にも人気があります。数も少なく、また釣れた時の独特の引きの醍醐味から、熱狂的なファンが多く存在します。地域差はありますが、釣期は4~11月の温かい季節が中心です。

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旬は夏

産卵前の春が旬だとする人も居ますが、夏も脂が落ちず美味で、マダイが姿を消す夏には珍重され、一般には夏が旬とされています。一方で、脂がのった冬場の刺身が絶品、とする向きもあります。

何かとお目出鯛、魚の王様マダイ

栄養成分と効用

イシダイは脂肪分が少ない白身魚で、良質な動物性蛋白質をたっぷりと摂る事が出来ます。また、DHA、EPAなど不飽和脂肪酸、ビタミンD、E、リン、カリウムなどを豊富に含んでいます。

イシダイを選ぶポイント

ぬめりに注目

もともとからだの表面にぬめりを持っているで、このぬめりがしっかりと残っているものを選んでください。ぬめりは新鮮なものほど透明感があります。

身体の張りと大きさ

腹を押してみてしっかりと固さを感じるものを選びます。また、大きければいいということでもなく、40cm位のものが旨いサイズです。

エラの色

エラ蓋を開けてみて、中が鮮紅色の物を選びます。

下拵えは慎重に~シガテラ毒に注意

イシダイは稀にシガテラ毒を持っているので、内臓は破らないように取り出し、腹の中をしっかりと水で洗ってください。特に大ものは注意を要します。

旨い食べ方いろいろ

まだまだ養殖ものが少なく値が高い、いわゆる高級魚です。寿司屋や割烹屋の水槽でよくお目にかかります。鮮度が落ちにくく、野締めでも活けものに近い味が楽しめます。

独特の磯臭さがあり、鮮度が悪いと一層この臭みは強くなります。これがイシダイの特徴で「磯臭さも味のうち」としてこの風味を好む人も多いですが、上手くこの臭みを抑える工夫が、料理のポイントです。

卸して直ぐは、弾力がありすぎ、また旨みも少ないので、冷蔵庫で1~数日寝かせて熟成するのをお勧めします。

生食

鮮度が良い物は、生食しましょう。磯臭さがあるので、普通に刺身にするより洗いに向いているかもしれません。サク取りした身を薄切りにし、氷水にさらしてから水気を切って、梅肉や酢味噌でいただきます。皮の旨さも味わえる霜皮造りも、大変結構です。

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煮物

煮付けの場合は、生姜を利かせると臭みが消えて良いでしょう。白身でくせのない味わいはなかなか結構です。また、ニンニクやハーブを利かせたアクアパッツアなども旨いです。

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揚げ物

小ぶりのものなどは、唐揚げにしても美味しいです。中骨は固く、揚げても食べられませんので、三枚におろしたものを揚げるのが良いでしょう。

焼き物

ニンニクやハーブを利かせて焼くことで、旨さが増します。また、身がしまりやすく淡白なので、バターやオリーブオイルなど油分を使って焼くのも旨いです。シンプルな塩焼は、身が締まりまるで鶏肉のように硬くなるので、お勧めしません。

ポワレ

皮に磯臭さが残るイシダイは、じっくり皮目を焼くポワレに非常に向きます。塩・胡椒して、小麦粉をたたかないで、皮がカリカリになるまでオイルで焼き上げます。

コメント

  1. debux2 より:

    あらいに酢味噌!が好物です。
    とっても、夏っぽい!

  2. tak-kurosky より:

    イシダイはね、ウニやカニやムール貝を餌にするので、ブルジョアなんです。。。
    中型以下は口も小さくて、餌取りがうまいの。
    釣り人泣かせだわ。

  3. souxouquit より:

    debux2さん!
    あらいに酢味噌、堪りませんねぇ。これぞ夏の味覚、という感じがします。

  4. souxouquit より:

    tak-kuroskyさん!
    釣りキチは、バケツいっぱいのサザエを餌に、時には夜通しで狙うと聞きました。イシダイって奴は、つくづく、オトコのロマンを掻き立てる魚なんですねぇ。

  5. シータのママ より:

    最近スーパーなどで買うお魚はあまり美味しいもの
    がないなーと思い美味しくブログを読ませて頂きました。暑い日は、キンキンに冷えた白ワインと
    イシダイの唐揚げで、暑い夏を乗り越えたいな〜

  6. souxouquit より:

    シータのママさん!
    そうですね。スーパーの魚は、あまり旨くない気がします。
    キンキンに冷えた白ワインとイシダイの唐揚げ、ベストマッチですよね♪

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