味が良く希少なヒラマサは、ブリ御三家の最高峰

身締まりの良い独特の風味と旨みを持つ、漁獲量の少ない、海のスピードスター。ヒラマサは、ブリ御三家の中でも「最高峰」と称される青魚です。

目次

ブリ御三家とは、脂ののった旨みが人気の青背魚たちのこと

ブリ御三家と言われているのは、ブリ(鰤)、カンパチ(勘八)、ヒラマサ(平政)のこと。生物学的にも同じスズキ目アジ科ブリ属で、いわば親戚です。これら青背魚たちの共通の特徴は、脂ののった旨みです。

ヒラマサは、小さな群れや単独で行動するため、大群で行動するブリなどに比べ、漁獲量が極端に少ないのです。近年は養殖も行われていますが、それでも流通量は御三家の中で最も少なく、希少な魚です。

また、ヒラマサは春〜夏が旬で、味のいい期間が長いのと、晩秋が旬のカンパチや冬が旬のブリと時期が被りません。料理人などプロの間でも人気が高いのは、こうした理由もあります。

知名度はおそらく御三家で最低レベルですが、知っていて決して損のない魚だと思います。

あなたにもできる! ヒラマサとブリの見分け方

御三家の中でもヒラマサとブリは本当に似ていて、プロでも見紛う程です。そもそも旬が違うので、両者を比較する機会はあまりないかもしれませんが、以下参考にしてください。

  • 鰓蓋(えらぶた)までの長さ:ヒラマサは短い、ブリは長い
  • 口元の角:ヒラマサはやや丸みを帯びている、ブリは三角に角張っている
  • 体つき(縦からの見た目):ヒラマサは平たい、ブリは丸い
  • 黄色い線:ヒラマサは鮮やかで真っ直ぐ、ブリははっきりしていない
  • 刺身の色:ヒラマサは明るく淡い肌色、ブリは暗く赤みを帯びる
  • 血合いの色:ヒラマサはオレンジ色、ブリは濃い色で時間経過とともに黒っぽく変色する
  • 食感:ヒラマサは硬くコリコリ、ブリは時間経過とともに柔らかくなる

成長が早く旬が長いヒラマサ

肉食で、カタクチイワシやアジ類、サバ類などの表層性魚類や、スルメイカなどを捕食します。1年で40cm、2年で60cm、3年で80cm、4年で90㎝程度に成長します。寿命は7年程です。

通常市場に出回るのは、全長1m前後の個体ですが、ブリ御三家の中では最も早くかつ大きく成長し、250㎝、100㎏の個体が漁獲されたという記録があります。

旬は、気候変動や天然/養殖によって違いがありますが、5~9月と比較的長期間にわたります。また、夏~秋の産卵時期を経ての回復も早いようで、冬場のヒラマサを珍重する、というプロも一部に居ます。

全国で水揚げされ、釣り人にも人気

ヒラマサは青森から九州にいたるまで、全国各地で水揚げされています。天然モノの漁獲法としては、釣りのほか曳網や延縄、定置網、刺し網などです。

中でもユニークなのが、「しいら漬け」と呼ばれる漁法。竹を束ねて作った浮遊物に碇をつけ、そこに集まるシイラなどの魚をまき網で漁獲する漁法ですが、ここにヒラマサがよくかかります。

沿岸の中・下層に棲息するため、関東あたりでは一般の釣り人にも人気が高い魚です。

6月頃の相模湾~外房産、夏の三陸産、夏~秋の三陸や東北産、佐渡島産などが、市場では高く評価されています。

また、九州各地で養殖も盛んになり、市場には安定入荷されるようになってきました。

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海のスピードスターは栄養も満点

釣り人から「磯の弾丸」や「海のダンプカー」などと呼ばれる程元気で力強いヒラマサは、時速50kmの高速で泳ぐとも言われ、まさに回遊魚の王者です。

それゆえ筋肉がしっかりしており、必須アミノ酸を多く含んだ蛋白質が豊富で、脂肪量も白身魚に比べて多いです。

他にも、特にDHAやEPAなどの不飽和脂肪酸、ビタミンA、D、Eなど、栄養価は高いです。

生食を筆頭にいろいろ工夫の余地ある食べ方

ブリほど脂がしつこくなく、カンパチよりも旨みが多い魚で、さっぱりしています。独特の風味があり、身締まりも良く「青背の貴公子」といわれるほど味の良い魚です。

刺身用の柵か切り身で目にすることが多いと思いますが、肉質に艶があり、肉汁の滲み出てないものを選ぶのがポイントです。

生でも、焼いても、汁モノにしても旨いです。いろいろなバリエーションを試してみるのが、楽しいと思います。

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鮨ねたや刺身

ヒラマサはなんといっても刺身が最高。乳白色の身は透明感があり美しく、しっとりした歯ごたえは絶品です。締めてから時間が経っていないものはコリコリした歯ごたえで、数時間から1日熟成させたものは、ねっとりした旨みが出てきます。血合いも美しく、臭みがありません。夏場の寿司種としてシマアジと並び称され、高級料亭でも珍重されています。

焼き物

ブリ同様、塩焼き、照り焼き、西京焼き、祐庵焼などにしても美味しいです。

特に、酒などを軽くまぶして焼くと、かなり優れたアテとなります。

煮物

煮付けでもおいしく、脂が少ない分、ヒラマサ独特の味覚を楽しめます。

大根と煮付けたり、アラ煮は濃厚な味です。

フライパンで炒めるソテーなど

フライパンでソテーにしてもいいです。これに甘辛い醤油味をつけたのがフライパン照り焼きですね。

鮮度がよければ、臭みも少ないので、潮汁がイケます。

また、味噌汁にすると、味噌との相性が抜群によく旨みが増殖されて、これまた美味です。

その他

脂肪が少ないので、さっぱりした味わいの酢の物やポアレもイケます。

また逆に、油を使ったフライ、ムニエルなどにも向きます。

如何でしょう。

これからの季節、目にすることがあれば、ヒラマサを是非試してみてください。きっと新たな旨さを体験できると思います。

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コメント

  1. debux2 より:

    「ブリ御三家」という言い方は知りませんでしたが、その中では平政が断然好きです。
    腹は刺身に、背は塩焼きに、更に本物の山葵を添えられれば最高!

  2. souxouquit より:

    decux2さん!
    春~夏のヒラマサは、適度な脂とコクがあって旨いですよね!
    腹と背を分けて味うのも、深いですね!

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