秋の旬を迎えるアサリの、完璧な選び方と砂抜きの決定版的まとめ

アサリ(浅蜊)は、日本人になじみの深い貝。春と秋に旬を迎えます。美味しいアサリの選び方と、完璧な砂抜きの方法について、コツを教えちゃいます。

目次

かつては身近な食材だったアサリも漁獲量が激減

国内のアサリ漁獲量は、近年著しく減少しています。ピーク時には16万t/年を誇った漁獲量は、2016年では8,500tにまで落ち込みました。この現象について、乱獲だけでなく、埋め立てなどによる砂浜の減少や水質汚染、海水の温暖化などが原因と考えられています。

アサリは中国や韓国からも輸入されており、その量は国内の漁獲量に匹敵します。国内でみると、都道府県別では、愛知県、静岡県、北海道の順に漁獲量が多く、特にトップの愛知県は、2016年は全漁獲量の40%、多い年では60%程度を生産する一大産地です。

【出典】農林水産省 漁業・養殖業生産統計

アサリの旬は6月と10月

アサリの産卵期は年2回です。春のアサリは7〜8月に産卵し、秋のアサリは11〜12月に産卵します。アサリが一番旨いのは、産卵のため栄養を蓄える時期。つまり、アサリには年に2回旬があり、それは6月と10月ということになります。

旨いアサリを見分けよう! とっておきのポイント

「大ぶりが旨い」は嘘

6cm超の立派な大きさのモノが旨そうに見えるかもしれませんが、実際は逆です。4〜5cm程度の2〜3歳のアサリが、柔らかくジューシーで旨いです。大きくなりすぎると身が痩せて、水分が減り堅くなってしまいます。

重要なのは模様ではなく形

縞模様がはっきりしているモノを選ぶと良いと言われますが、これも俗説です。旨さは、鮮度や成長度合いによって決まりますが、DNA(遺伝子情報)によって決定される縞模様は、これらの判断基準にはなり得ません。むしろ重要なのは、貝の形で選ぶことです。アサリが伸び伸び育つ沖合は砂が細かいため、アサリの横幅が広くて厚みが薄くなる傾向があり、そういった個体を選ぶ方がよほど理に適っている、という訳です。

海水の透明度や匂いもチェック

密閉パックで売られているアサリは、海水が透明なものを選ぶといいでしょう。海水が白濁していたら、産卵しているか、鮮度が落ちている可能性があります。

ネットやビニール詰めになっているものは、殻がしっかり閉まっているか確認し、匂いをチェックしましょう。異臭がするものは鮮度が落ちている可能性があります。

トレイでラッピングされているものは、空気にさらされているため、すぐに殻が開いてしまいますが、冷蔵で鮮度保持されているので問題ありません。但し、この状態のものは家に持ち帰ってからの砂抜きは難しいので、その日のうちに調理しましょう。

決定版「砂抜き」のポイント

調理の前には、基本的には「砂抜き」をしましょう。アサリが砂を吐きやすい条件は、通常の棲息環境に似せることです。潮干狩りで獲ってきた場合は、現地の海水をペットボトルで持ち帰って、そのまま使えばいいです。買ってきた場合は、3~3.5%の塩水(水1リットルに30~35g位の塩を入れて作る)を用意しましょう。折角吐いた砂を再度吸わないよう、容器は、ザルやスノコで底上げするのがコツです。また、容器を新聞紙などで覆い、砂の中同様暗くすることもポイントです。元気なアサリたちはそれはもう勢いよく水を吹きますから、部屋が水浸しにしない点でも、新聞紙で覆うのがいいと思います。風呂場に放置もいいですね。暫く室温で置きますが、長時間塩水に浸しておくと貝が弱って味が落ちるので、夏場は2~3時間、冬でも半日程度で上げます。

砂抜きが終わったら、貝同士をこすり合わせて洗います。この状態で直ぐに調理できます。保存したい場合は、水をよく切り、その上で少し湿らせた新聞でくるみ、ビニール袋で包んで密封せずに冷蔵庫へ入れます。密封しないのは、呼吸できないと死んでしまうからです。貝は水から出されると殻を閉じて身を守り、低温になると休眠するので、これで生きたまま数日は保存できます。

冷凍すると旨みが倍増?!

数日と言わず長期保存したい場合は、冷凍します。実は、アサリを冷凍すると、旨みが格段にアップする、という嬉しいおまけがついてきます。そのため保存目的でなく、わざわざ冷凍させる料理人も多いようです。

アサリの旨み成分であるグルタミン酸やコハク酸は、生のままだと細胞膜に閉じ込められ、外に出にくい状態です。そこで冷凍によって細胞膜を破壊し、旨み成分が外に出てき易くする、という訳です。

塩抜き後水気を切ったアサリを、保存袋などの密封袋に入れます。出来るだけ急速に冷凍した方が良いので、ステンレスなどのバットに広げ、そのまま冷凍庫に入れて一気に凍らせます。調理は必ず凍った状態のまま加熱してください。「解凍」のプロセスは必要ありません。なるべく短時間で一気に過熱した方が、蓋が綺麗に開きます。

定番から応用まで様々な料理で使えるアサリ

スパゲティボンゴレ

大蒜と赤唐辛子をオリーブオイルで炒め、そこにアサリを投入。すこし炒めたら白ワインをふって蓋をして蒸します。アサリの口が開いたら汁を吸わせるようにスパゲティに混ぜ、塩胡椒醤油で味を調え、パセリをふれば出来上がり。簡単で旨いです。

酒蒸し、ワイン蒸し

アサリと酒を、蓋が出来る鍋に入れて、蒸し上げるようにして作ります。アサリの旨さがダイレクトに感じられる一品です。酒を使うことで、アサリの実はふっくらと、かつ香り豊かに仕上がります。

ガリバタしょうゆ炒め

ガリバタしょうゆ(大蒜、バター、醤油)の3点セットは、まさに黄金トリオとも言うべき無敵の味付けです。アサリから塩分が出るので、塩加減は慎重にしましょう!

味噌汁

数あるアサリ料理で一番旨いのは、実は味噌汁ではないか、とも思うのです。沸騰した湯にアサリを入れると、出汁はあまり出ませんが、ふっくらと身が柔らかく仕上がります。アサリを水から茹でれば、バッチリ出汁が出ます。湯からか、水からか。それが問題です。

その他

キャベツやトマトなどの野菜とも相性いいです。また、クラムチャウダー、ブイヤベース、パエリャ、深川めし、佃煮、和え物など、いろいろ応用が効きます。潮干狩りで大量に獲った場合など、いろいろ試してみてください。濃厚な出汁のおかげで、大抵上手に仕上がると思います!

コメント

  1. debux2 より:

    ほほう、冷凍すると旨みがますのですか、勉強になります。
    水からじっくり煮込んで最後に白味噌を加えるのが好みです。アサリに失礼なのですが、身はあまり食べません。すみません・・・

  2. Fish Lovers Japan より:

    debux2さん!
    水から煮出すと、アサリの旨みはすっかり汁に移りますから、いいんじゃないでしょうか。

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