またまたややこしいことになってきました。
豊洲市場が2018年10月11日に開場、と一旦は決まりかけましたが、またもやひと悶着ありそうです。
こうなると小池知事は、自らまいた火種を刈り取るべく、地道な努力を積み上げるより他に、解決は難しそうです。
目次
事実関係(報道時系列)
今回の問題をわかりやすく、報道の時系列で追ってみます。
豊洲開場、来年10月11日軸=10日決定へ-都と業界団体
東京都の築地市場から豊洲市場への移転をめぐり、都と築地の業界団体で構成する新市場建設協議会が6日開かれ、移転、開場を2018年10月中旬とすることで合意した。連休直後の大安に当たるため最有力候補に挙がっている同11日の開場を軸に調整しているが、業界団体内の意見集約が間に合わず、正式決定は今月10日の次回協議会に持ち越した。決定すれば、当初予定していた昨年11月7日から2年遅れての移転実現となる。
一度はこのように決まりかけましたが、江東区の山崎孝明区長が、観光施設の整備が確定されない限り白紙撤回だ、と待ったをかけました。
豊洲市場の開場時期の決定を受けて江東区長によるコメント
本日、豊洲市場の開場時期を平成30年10月中旬とすることが決定されました。
本区は、市場の受入れにあたって、長年に渡る東京都との協議において、土壌汚染対策、地下鉄8号線の延伸を含む交通対策、賑わい施設の整備の3つの約束を交わし、確実な履行を求め続けております。それにもかかわらず、昨年の移転延期の決定以降、都における一方的な物事の決め方がなされるとともに、現時点でも、この約束事が一つも履行されていないことについて、強い危機感を抱いております。
本区は、賑わい施設を整備することが確定しない限り、市場の受入れを再考せざるを得ないものと認識しております。
これを受け、業界団体で作る「築地市場協会」の会合で対応を協議した結果、10日の会議は延期し、オープン日の決定を先送りすることになりました。
豊洲市場 江東区長の認識受けオープン日の決定先送り
2017/11/9 NHK
東京・築地市場の移転先となる豊洲市場のオープンの日付は、10日の東京都と市場業界との会議で決定される見通しでしたが、江東区長が「豊洲市場での観光施設の整備が確定されない限り、受け入れを再考せざるをえない」という認識を示したことを受け、会議が延期され、オープン日の決定も先送りされることになりました。
築地市場協会の泉未紀夫副会長は「業界全体として大変ショックだ。小池知事には、江東区に対し、しかるべき対応をとり、事態を収束してもらいたい」と話していました。
豊洲市場で計画されている「千客万来施設」は、東京都と江東区の間で整備が約束されていました。ところが、ことし6月に小池知事が、豊洲だけでなく築地市場の跡地を再開発するとした基本方針を示したことを受け、「千客万来施設」の整備・運営会社が、同じような施設が築地にもできれば採算が取れなくなるなどとして、撤退せざるをえないとする意向を都側に示していました。
東京都の小池知事は、江東区長が「受け入れを再考せざるをえない」という認識を示していることについては、「これまで江東区とやり取りする中で、ここに来ていくつかの点を確認したいということだと思う。すぐにできること、これからやらなければならないことがあるので、1つずつ丁寧に対応していきたい」と述べました。
そもそも江東区との約束を反故にしたのは小池都知事
豊洲市場の立地する江東区は、市場移転が行われるための事実上の「都との契約事項」として、以下の点を求めていました。
① 土壌汚染対策
② 地下鉄の延伸を含む交通対策
③ 賑わい施設(千客万来施設)の整備
①②について履行されないばかりか、③については、6月の「築地市場の跡地も再開発し活かす」とした小池知事の発言で、千客万来施設の整備・運営会社が撤退を言い出す事態に発展しているのが大打撃だ、ということです。
おそらく江東区としては、インフラ運営という「重荷」と賑わい施設の「見返り」は、セットでないと住民に説明がつかない、ということでしょう。
区長と同じタイミングで発表された以下のコメントにも、それが滲んでいます。
豊洲市場の開場時期の決定を受けての議長コメント
2017/11/6 江東区ホームページ
江東区議会は市場の受け入れに関して、これまで16年以上もの年月をかけて、東京都と議論を重ねてきました。そして、平成23年に都民の食生活を支える役割の重要性から、大局的見地に立って、土壌汚染対策・交通対策・にぎわいの場の創出という3つの約束を交わした上で、市場の受け入れを了承しました。
本日、都と業界団体との間で開場時期の決定について合意がなされたと聞いております。しかしながら、千客万来施設の整備は、事業予定者である万葉倶楽部株式会社の動向が懸念される状況であり、また、地下鉄8号線の延伸は、平成23年7月に副知事が本区を訪れ、「最大限の努力を傾注していく」と約束したにも関わらず、実現への道筋が全く見えてこないなど、本区との約束は何一つ果たされておりません。
これまでの都の対応は、あまりにも不誠実であり、現状のままでは、住民の理解を得ることはできず、市場の受け入れは困難と言わざるを得ません。本区議会は、3つの約束事の確実な履行に向けて、今後より一層、真摯に取り組むことを都に求めます。
何度も言うが、市場を政治の道具にするな
いち都民として、江東区の言い分は「もっとも」だと感じます。
小池知事は、都議会自民党の幹部を歴任していた江東区の山崎孝明区長とは距離があると聞きました。
まさか政治的な好き嫌いで江東区との約束を反故にしているのではない、と信じたいです。
いずれにしても結局、選挙対策の思い付きで「築地も豊洲も」と欲張った「豊洲に移転の上、築地に市場機能確保」という玉虫色発言の代償は、非常に高くついてしまいました。
都政に専念するしかない(あたり前ですが)小池知事には、これ以上移転のゴタゴタで傷口を拡げないよう、江東区に誠意を見せていただきたいものです。
「豊洲問題は情報の行き違いが原因で問題なんて無かった、私が悪かった」と認めちゃうのも、アリなんじゃないでしょうか。
また、築地関係者から聞くところによると、もう既に総スカン喰っている状態だとのことなので、「築地を活かす」発言もこの際撤回しちゃってもいいんじゃないでしょうか。
このエントリーを書いている間にも、こんなニュースが飛び込んできました。
土壌汚染対策の追加工事また入札不調2件、市場移転に影響も
豊洲市場で都が予定している土壌汚染対策の追加工事で、13日までに入札された3件のうち2件が業者辞退などで不調となったことが都への取材で分かった。10月末に開札された別の5件中4件も不調となっており、築地市場からの移転スケジュールに影響が出る可能性もある。
小池さん、いまこそ真面目に仕事すべき時です!
都民の台所を、政治の道具にするな!