アジ科の中では味、姿形とも最高と言われるシマアジ。夏が旬の魚ですが、最近では養殖ものが年中出回るようになりました。
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アジの仲間なのはゼイゴで判る
シマアジは、スズキ目アジ科シマアジ属。体高が高い楕円形で、タイの様に平べったい形をしています。背中は銀青色、腹部は銀白色で、口先から尾にかけて一本の黄色い縦縞が走りますが、この黄色縦帯は老成すると不明瞭になります。鰓蓋の後端に黒色斑があるのが特徴です。
見た目からはマアジと同じ仲間とは想像できませんが、ゼイゴ(堅くギザギザな鱗)を持っているのでそれとわかります。
名前の由来は諸説あり
潮通しのよい沿岸岩礁域や島嶼周辺でよく獲れることから「島鯵」だという説と、幼魚の黄色い縦縞があるため「縞鯵」だという説がありますが、よく分っていません。地方によってはカツオアジ(鹿児島)、コセアジ(高知)、ヒラアジ(熊本)、シマイオ(浜名湖)などと呼ばれます。また、東京ではシマアジの大物をオオカミと呼びます。
肉食の回遊魚
台湾、東太平洋を除く全世界の温帯域に分布します。日本では岩手県南部の太平洋岸と、沖縄や小笠原近辺、能登半島以南の日本海に分布。南北回遊と言いますが、春から夏にかけて北上し、秋から冬にかけて南下します。
水深200m以浅の中下層に棲息しますが、特に潮の速い水深50m前後の沿岸に多く分布します。
産卵期は、水温が20℃前後に降下する秋から冬で、オスがメスを追っかけ、メスが産んだ卵にオスが放精する体外受精で産卵します。卵は直径1mmの分離浮性卵。20~22℃なら産卵後40時間で孵化します。
孵化直後は全長2~3mmで、流れ藻などに付いて成長し、1年で18cm・170g、2年で30cm・800g、3年で40cm・2kg、4年で45cm・3kgに達します。体重2~3kgに達する生後3~4年で成熟個体となります。
カタクチイワシやマイワシ、キビナゴなどの魚類のほか、小型のエビ類やアミ類を食べる肉食です。遊泳するものを追って捕食する他にも、海底の砂を伸ばした口で掘り、砂中に潜む小動物を砂とともに吸い込んで鰓で濾して食べます。
古くから養殖に取り組み安定供給に成功
シマアジは、マダイ、トラフグ、ヒラメなどと共に養殖に最も成功している魚で、最近では年中出回るようになりました。その養殖の歴史は古く、全国的に海面養殖が普及してきた1960年代前半には既に始まっていました。
受精卵からの「完全養殖」と痩せた個体を太らせる「蓄養」を合わせ、2005~2015年は平均3万t/年規模で安定的に養殖されています。2016年はやや増加し、4万t/年規模に達しています。
出荷量が多い順に愛媛県、東シナ海区となっています。
【出典】農林水産省 海面漁業生産統計調査
関東では高級白身として重要
マダイに似た上品な旨みの中に、青魚独特の旨みも含まれるシマアジ。脂も上質でクセがありません。夏場は、脂ののった白身(本当は青魚ですが関東では白身範疇として扱われるのが慣習)としては、ヒラマサと共に貴重です。また、小型のものは年間を通して美味で、特に冬場のシマアジを好む向きも居ます。
大型のものはやや脂肪が強すぎますが、1~2kg前後の中型物は、淡いピンクから乳白色の上品な肉質で、最高に旨いとされています。
頭が体の割りに小さく食べる部分が多い(歩留りがいい)ので、輸送効率の点でも好まれる魚です。
養殖が確立して値下りしたものの、まだスーパーなどに並ぶことも少なく、高級魚として扱われています。天然ものは、築地市場に入荷する個体の1%にも満たないと言われる程希少で、養殖ものの3~5倍もの値で取引されます。養殖ものも臭みもなく、少々脂が強い程度で、天然ものと比べそれ程の遜色はない、というのが市場の評価です。また、ニュージーランド、オーストラリアなどからのチルド輸入ものも、少量ながら流通しています。
選び方
目が澄んでいるもの、身体に張りがあるものを選びましょう。体色がくすんでいるもの、鰓の色が暗褐色のものは避けた方がいいでしょう。
食べ方
料理法は、刺身、塩焼き、汁(潮汁、味噌汁)、煮付け、フライ、ムニエルなど多岐に亘ります。
なお、捌き方はこのブログに詳しいので、是非参考になさってください。
刺身
値段が高い魚なので、刺身や鮨種にするのが最もポピュラーな食べ方。丸のまま捌くとしたら、三枚に卸して刺身用のサクを取り、アラを潮汁に使うのが一般的でしょうか。
皮目が美しく独特の風味があるので、背の銀皮を綺麗に残して皮を引きたいものです。あるいは、そういうキレイなサクを購入しましょう。
薬味は山葵の他、生姜もイケます。
塩焼き
アジ科魚類の定番。もったいない気がしますが、塩焼きも実に旨いです。皮目の風味が味わえ、ほどよく繊維質で身離れがいいです。
潮汁
潮汁も旨いです。脂も風味もあり、シンプルに塩コショウ酒でイケます。シマアジの臭みが気になる向きは、味噌汁にする方がいいかもしれません。
煮付け
アラだけでも煮つけにすると非常に旨いです。もちろんアラだけでなく身の煮つけは、そりゃ旨いです。
コメント
シマアジかカンパチか、シマアジに軍配!
刺身以外で食べたことはありませんが、美味しいだろうことは想像に難くないですなぁ・・・
debux2さん!
夏のシマアジは、やっぱり旨いですよね。カンパチは秋ですからね。
ろっしぃさん!
素晴らしい娘さんじゃないですか。「一番好きな刺身はシマアジ」と断言できる日本人は、いったい何人いるでしょうか。たぶん5人ぐらいだと思います。全国のシマアジファンの男性は、私宛にご連絡ください。